介護保険制度の目指している「本人の能力に応じた自立した日常生活(=自律+介護+部分自立)」とは、自立には自律による自己選択、自己決定がある事が前提となり、自律した決定の上で本人への介護サービス、支援が行われる事によって得られる日常生活のことであると考えられます。
介護サービス、支援をするにあたって、本人が自己選択、自己決定した本人の能力に応じた決定、自律した決定を、どのようにしてサービス、支援に反映し、自立(自律)した日常生活を目指すことが出来るかが、介護保険におけるケアマネジメントの目的となるとも言えます。
介護保険制度での「自立」に向かうには、支援が必要となった利用者の「やりたいこと」、「やれること」、「やっていること」を確かめながら、利用者本人がまずどのような日常生活を求めているかを知る必要があります。そのためには、利用者とのコミュニケーションをフィードバックに心がけながら行う事で、利用者の考えを、受け手である介護職が利用者から受け取って、利用者の考えている事が具体的にイメージできるまで摺り合わせることが必要です。
利用者と介護者のお互いの考えがより近づき、実際の生活場面がイメージ出来るようになる事で、利用者の「自立した日常生活」の目的にもなりうる「やりたいこと」が具体的に知ることが出来ます。加齢による生理的老化、病的老化により障害、疾病となっている方もあり、その状態から「やりたいこと」が残念ながら介護サービス、支援を行っても困難である場合があります。
「やれること」が利用者本人の考えていることと、実際に「やれること」との間には差が見られる場合があります。具体的な利用者の「やれること」のイメージを受け取る側が持てていないと、利用者の考えている事と介護職の受け止めた考えとが異なってしまいます。そして、実際に「やれること」との差を理解することも難しくなり、「やりたいこと」、「やっていること」を含む必要な介護サービス、支援が行えないことになります。
自律を支える介護は、まず、利用者の「やりたいこと」、「やれること」、「やっていること」を知り、利用者の能力に応じた自律による、利用者が考えている自立へ向けた自己決定を得る事により、利用者と協働しながら介護サービス、支援を行ってゆくことになります。
202102