介護保険におけるケアマネジメントは、介護保険制度の利用者が持つ様々な支援の必要性(ニーズ)について、アセスメントを行います。そして、ケアプランを作成するなどの過程を経て、ケアマネジメントが目的とする支援の必要性を持つ人々が、その人本人が自ら持つ機能(能力)を最大限に発揮して健康に過ごせるようにサービス、支援を提供します。
ICFは、支援が必要とされる方に対して、その個人の健康に関する情報を分類し、評価を加える事によってコード化します。その結果、その方のニーズが明らかになり、ニーズの解消への取り組みについて、必要なサービスや支援を検討する事が出来るようになります。
ICFについて、介護保険のケアマネジメントに関する研修や講演で、国の方針として「ICFの視点を生かして」とか、「ICFの理念を取り入れて」という話が必ずと言って良いほど出てきます。確かにICFは、支援が必要な個人の健康に関する情報を分類しコード化するのが第一の目的といえますので、ICFを国の方針のように、介護保険のケアマネジメントに生かすことや取り入れることは、直接的には困難であると考えられます。
国がICFを活用することを強く押し進めるならば、理念や概念だけではなくて、ICFのコード化という作業とその結果を、ケアマネジメントに使用することを行わなくてはなりません。しかし、国は介護保険認定システムのように、自前でICFを使用したケアマネジメントのためのシステムを構築するつもりは無いようですし、全国老人保健施設協会がICFを活用したアセスメント方式であるR4システムを開発しても、普及への積極的な支援を行っていないように見受けられます。
ICFのコード化は分類を目的とした作業ですが、ICFのコード化の結果は、一人ひとりに評価を加えて、評価点がコードに含まれます。ICFは、評価点によってコードが個別化されていますので、ケアマネジメントに活用することが可能と考えられます。しかし、第二レベルで362項目、第三・四レベルで1424項目となり、必要なコードを選び出すだけでも手間がかかり、さらに評価を行ってコード化し検討を加えてケアマネジメントに活用するには、普遍的なツールであるが故に難しさがあります。
ICFを生かしたケアマネジメントは、ICFの特別編集版が作成されるかR4システムの老人保健施設だけでなく介護保険サービス事業者全体に利用が広がり、ケアマネジメント全体にICFの活用が行われるようになる事が必要と考えられます。