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ひとは役割を得ると尊厳が守られたと感じることがあります

介護の仕事をして、利用者はサービス、支援の受け手という立場であり、介護の場面では特別な役割を果たすことは無いと思われがちです。しかし、利用者の尊厳やエンパワメントを考えて見ると、利用者それぞれの能力に応じて、介護の場面で生き生きと役割を果たすことが、利用者の尊厳を支え、エンパワメントを発揮することになることがあります。

デイサービスのレクリエーションの場面で、歌を歌う時間があり、そこでは職員が楽器を演奏して、利用者が歌を歌っていました。職員がある利用者Aさんから、Aさんと同年齢の人達が集まる席で、良くハーモニカを吹いてみんなが歌を歌うと、Aさんの世代は楽器と言えばハーモニカだったので、誰もがハーモニカの演奏で歌うことを懐かしがりながら楽しんでいますという話しを聴きました。

そこで、職員は歌の時間にAさんにハーモニカを演奏してもらい、それに合わせてみんなが歌を歌うことにしました。Aさんは、認知症もなく歩行に障害が見られる程度で、デイサービス参加者の中では、比較的軽度の方のためか、デイサービス利用に消極的な感じがありました。

歌の時間にハーモニカを演奏してみんながそれに合わせて歌ってくれるという事が、デイサービスへの楽しみとなり、デイサービスで生き生きとした顔が見られるようになり、デイサービス参加にも積極的な姿勢が見られるようになりました。

デイサービスでハーモニカを演奏するようになってから、それまで自宅での訪問介護サービスでは、生活援助として掃除、洗濯、入浴の見守りを行っていましたが、Aさん自らの簡単な調理などを行いたいという提案がありました。

介護サービスで利用者を、利用者の立場に押し込めることなく、利用者が能力、経験などに応じて役割を持つことは、ひとつの生活場面だけでなく、他の生活場面でも利用者の尊厳を支え、エンパワメントを発揮することになります。

介護職は、利用者に最も身近な専門職として、コミュニケーションを利用者とフィードバックを行いながら、利用者の思いや考えを知り、全人的なかかわりを行ってラポールを得ることによって、介護サービスの利用者ではありながらも、サービス場面で主体的な役割を行うことが容易になるよう活動する事が必要となります。



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人権は何時でも何処でも誰にでもあるものです

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