社会資源というとどのようなものをイメージするでしょうか、資源というので「社会のために、発見され活用されるのを待っているもの」や「社会のために使われることによって役立つもの」などをイメージするかと思います。
確かに社会のために活用されたり、役立ったりするものが社会資源と言えますが、介護職が働く介護保険制度や障害総合支援制度が含まれる社会福祉の分野では、早くから社会資源とその活用について関心が寄せられていました。社会福祉の分野では、社会資源とは「支援を必要とする人々のニーズの解決のために必要とされ、支援のために使われたり開発が必要とされる施設、制度、機関、組織、個人だけでなく、知識や技術なども含めた物的、人的資源の全て」と言えます。
社会福祉が社会資源に関心を寄せてきた理由は、社会福祉に携わるソーシャルワーカーやケースワーカーと呼ばれる支援者がフォーマルサービスである社会福祉制度だけでは、支援の対象となる人々のニーズを解消することが出来ません。そのために、同じフォーマルサービスである医療保険制度や社会保障制度などの活用や、インフォーマルサービスとなる非営利団体、営利団体の活動をはじめ地域でのボランティア活動や個人間の支援活動も含めて、支援の対象となる人々のニーズ解消に取り組む必要が生じたためです。
介護保険制度は、社会福祉制度と医療保険制度とを組み合わせた制度です。残念ながら介護保険制度となっても支援の対象となる人々のニーズを、介護保険制度単独では必ずしも解消することは出来ない状況にあります。そのために、介護保険制度に携わるケアマネージャーは、介護保険制度が開始される前のソーシャルワーカーなどと同じように、社会資源の活用を行うことで、支援の対象となる人々のニーズが解消する事を目指して、ケアマネジメントを行っています。
ケアマネジメントは、現実的な考え方で介護保険制度の利用だけでなく、社会資源の活用を前提としてケアプランの作成を行い、それに基づいて介護サービスや支援を行われることをケアマネージャーに求めています。ケアマネージャーは、支援を必要とされる人々のニーズを達成するためには、社会資源に対する知識、理解だけでなく、社会資源の発掘、開発をも行わなければなりません。