認知症介護の「仲間」の存在
認知症の症状は私達(たち)の想像を超える場合がよくありますので、毎日の介護は大変なものになります。介護に関して、一人でお悩みの方もいらっしゃるかと思います。しかし、みなさまは決して「一人」ではありません。現在の日本には、認知症のご家族を介護している方はたくさんいらっしゃいます。ここでは、認知症介護の体験談を紹介いたします。同じ状況にある「仲間」のお話を知ることによって、少しでも、共感や安心を得ることができましたら幸いです。
認知症介護の苦労
「私は自宅で認知症の父を介護しています。90歳の母は8年ほど前から認知症が進行し始めまして、その時から、私と家族で介護をしてきました。認知症の介護は本当に苦労がたくさんあります。最近、父は頻繁に介護を拒否するのです。私たちが家族であることがわかっていないのか、他人の世話にはならん、と言います。ここはわしの家ではない、と言って、黙ってどこかへ出て行くこともよくあります。無理に外出を止めると大変な騒動になってしまいますので、父の気持ちを尊重した声かけをしなければなりません。難しいですね…」
介護の中で見つける「喜び」や「嬉し」
「しかし、嬉しいこともあります。父はときどき、私たち家族のことをわかっていることがあります。こうした時には、毎日の介護をねぎらってくれる言葉を言ってくれるのです。日々の介護は大変ですが、介護の疲れが吹き飛ぶ瞬間です。認知症の家族を介護していますと、どうしても嫌な部分ばかりに意識が向いてしまいがちだと思います。こうした気持ちで介護をしていると疲れがたまる一方ですね。私はできるだけ、喜びや嬉しを見つけるようにしています。こうしますと、やさしい気持ちで介護をすることができると思います。」