介護の仕事を行うために必要な知識、技能を得る研修は、1987年に介護福祉士資格が開始されたと同時に本格的な研修が行われるようになり、1991年から訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修が開始され1~3級の3段階の研修課程となりました。
2005年、国は国家資格の介護福祉士に研修、資格などの体系を一本化したいと考えましたが、目論見通りにはいかず介護職員基礎研修が2006年より開始されました。しかし、これまでどおり訪問介護員養成研修も行われ続けました。
介護の仕事を行うための資格、研修制度はピラミッドと言うより増築を繰り返した温泉旅館のような様相を示しており、さらに介護保険法の訪問介護以外の仕事には養成研修の終了が義務づけられていないという中途半端な状況となってしまいました。
やっとのこと、2013年より資格、研修制度を整理統合して、訪問介護員2級養成研修が介護職員初任者研修に、訪問介護員1級養成研修と介護職員基礎研修が介護職員実務研修になりました。そして、介護の仕事を行う介護職員は、介護職員初任者研修にはじまってその実務と経験に伴って、介護職員実務研修を終了したのちさらなる実務と経験を得ることによって、介護福祉士となる事を目指すというピラミッド型の資格、研修体系が整備されました。
はじめは家庭奉仕員と呼ばれていたホームヘルパーは、時代の要請に応じてホームヘルパーという呼称へ、さらに介護保険制度が開始されて訪問介護員という呼称を名乗るようになり、現在では介護職員という職種と変わってきています。しかし、介護職員の主な活動の場は家庭でありホームヘルパーという呼称は変わる事なく使い続けられています。
国は介護福祉士会と協議を重ねながら認定介護福祉士という介護福祉士の上位にあたる認定資格を設けようとしており、モデル研修が行われるなどされておりますが制度の開始はまだ未定という状態のようです。介護の仕事はマンパワーが求められる仕事として実践が第一となりますから、知識だけの資格保有者が数多くいても、その資格は絵に描いた餅となってしまいます。
介護職員として働きながらさらに上位の資格を得ることも良い事で必要な事だと思いますが、その前にまず基礎的な知識と技能とをしっかり身につけて、それを工夫、応用する知恵を持つことが第一だと思います。また、新しい情報、知識、技能などを得る事に興味を持つと言うことも大切なことだと思います。