施設へ入居する際のポイントを考えてみる際、「契約書などの説明」というものも着目しましょう。
一般的な説明
だいたいどこの施設であっても、入居を検討するにあたっての見学時には、パンフレットと料金表、それに何か広報誌などを発行していたらその現物、あるいはインターネットでのホームページ、また、進んでいるところであればパワーポイントなどを使用して自分の施設の特徴等を説明してくれるでしょう。これらは、当然ながら広く一般の方にも見てもらえる様に作成したものですから、基本的に何も落ち度がないものでしょう。では、その他の物を求めた事がある方はいらっしゃいますか?
契約書や重要事項説明書
介護保険は、契約行為でサービスが提供されます。つまり、サービスを受ける側にも権利があるわけです。一般的に、契約行為が一番簡単に説明されるのは、お店等での買い物です。買う側は、ある物を購入する際にお金を支払います。それは、その品にそのお金を払うだけの価値がある、と認めた事になります。また、売る側は、そのお金に見合うだけの品物の価値を保障しなければなりません。ここに、契約書という紙などでの締結行為はみられないものの、代金を支払い、受け取る、という契約行為が成立します。だから、見合うだけのものでなかった時には返金、交換などの責任が生じますし、買う側にも、きちんとした時期以内に買った物の価値を見定める行為を行う責任があります。また、消費期限のあるものなら、その期間中に消費する責任が伴うのですよね。介護保険も同じです。サービスを提供する側は、こういったサービスをこの費用で提供します、という約束をします。それにサービスを受ける側が同意をし、契約を締結する事で始めて両者の責任が発生します。つまり、サービスを受ける側にだって、契約を解除する権利というものがあるのです。「お世話になるのだから、多少の事は我慢しないと…」これは、介護保険制度開始前の福祉施設と利用者側との力関係です。
当然ながら、施設見学の際にはまだ契約を締結していない状態ですから、両者に責任は発生しません。しかしながら、その段階だからこそ、契約書や重要事項説明書にどんな事が書かれているのか説明を求めた際、対応する施設側の姿勢に注目する事が出来ます。ここで、「それは、契約する方にのみ説明するものですから」と言って断る施設であれば、その施設の親切心もその程度という事です。ただし、これらの説明にはそれなりの時間がかかるものですので、飛び入りで見学しておきながら説明を求めておいて、対応してくれないから親切ではない、と判断する事は止めましょう。