在宅…という言葉自体、介護に携わる人間がつい使ってしまう言葉なんですよね。本来ならばこれは「自宅」の事なのですが、介護保険制度上で言えば「施設サービス」と「在宅サービス」に分かれていて、日頃自宅で生活している方がデイサービス(通所介護)でお風呂に入ったとしても、「在宅サービス」の一環となります。でも、自宅以外で入るお風呂のどこが「在宅」なのでしょうか…。制度上、定義づけるために分けてあるとは言え、これを在宅とする事自体、自宅での高齢者の生活を支え切れていないという現実が判ってしまいますよね。では、介護が必要な方に自宅でお風呂に入ってもらうには、どうすれば良いのでしょうか。
訪問入浴
初めて訪問入浴の方法を聞いた時、ビックリしました。わたしが想像していた訪問入浴とは、自宅の風呂環境を使ってお風呂に入ってもらうために、専門スタッフが訪問するのかと思っていたら、違うんですね、お風呂ごと持って行くんですね。でもこれで、寝たままになって自宅の湯船だとお湯に浸かれない方であっても、それが可能になるって、本当にすごいサービスなんだなぁと思います。しかも、訪問入浴のスタッフの方って、対象者の健康チェックから始まって一人に対してしっかりと時間をかけてくれるんですよね。でも、介護報酬上において一回の訪問入浴に12,500円かかる訳ですから、当然と言えば当然なのかもしれません。
自宅の湯船の限界
正直言って、前述したようにベッドに寝たままの状態になってしまったとしたら、自宅の湯船を使う事は諦めた方が良いでしょう。股関節や膝関節、或いは足首の関節など、本来曲がる関節部分が固くなって動かなくなってしまう“拘縮”の仕方がひどい場合も同様です。本当は、動かそうと思っても言う事がきかない“麻痺”というものであれば、両足や両腕に麻痺がない、つまり片方だけの麻痺だったらなんとか入れるものなのです。でも、拘縮の程度が強い場合は無理をすると危険なだけですから、潔く諦めましょう。
片麻痺の人が自宅の湯船に入れるの?
ちょっと待って!片方の麻痺の人なら入れるって?そんな事は無理だ!と思う方もいらっしゃると思いますが、当然の疑問だと思います。ここは、正しい知識と技術が必要になります。詳細は、このサイト内の「在宅介護の悩み」における「介護生活の基本」という項目の中にある「浮力を利用すると力を入れずに浴槽から出ることができる」というポイントで詳しく説明されていますので、そこを参照にしてみてください。ただし、知識だけではなく技術が必要になりますから、読んだから出来るという訳ではありません。出来たら、体の仕組みをしっかりと理解されている、訪問リハビリのPTやOTに技術指導を仰いでみると良いでしょう。この場合、まずは担当するケアマネージャーの方に話を通しておきましょう。