認知症の人は不安の中で生活しています
認知症だと自覚がなくても、もの忘れがひどくなり、自分のやったことも曖昧になり、時間感覚もはっきりしないことが多くなる、という状況に置かれたら、「自分はどうなってしまったのだろう。自分が自分でなくなるのではないだろうか」と不安になるのは当然です。認知症の人が同じことを何度も繰り返して話をしたり、何度も同じ質問をしたりするのは、不安を解消するために確認をしようとしているからです。
また認知症の人が身近な家族、たとえば妻(夫)、子どもなどに苛立ちをぶつけるような暴言を吐くのは、不安の裏返しであり、信頼している家族だからこその甘えです。
認知症の人のわがままは防御反応です
認知症の人が相手の話も聞かず、自分勝手な思い込みで行動をしたり、暴言を吐くのは、不安な状況にある自分を守るための防御反応のひとつです。
このような状態にある認知症の人に、同じような攻撃的な態度をとっても理解しあうことはできません。認知症の人の表現方法の背後に潜む気持ちを察するようにしましょう。
認知症の人は新しいことが苦手です
認知症になると最近のことを記憶できにくくなります。一方、昔からの習慣や使い慣れが道具など、すでに身に付いていることは忘れません。ですから、昔の話しや元気だったときに身につけた動作、覚えた歌などは活き活きと聞かせてくれる、という人が多いようです。
新しいことが覚えられない、という状況では、周りに着いていけない、自分一人が取り残されるといった孤独感が強くなります。
認知症の人が活き活きと会話ができるような接点を見つけて、興味を持って話を聞くなど、認知症の人が「ひとりぼっちじゃない」と安心できる環境を作ることが大切です。