どうしてヒトは眠らなくてはならないのでしょうか
ヒトは日中は活動して夜間は眠るという昼行性の動物です。朝起きて太陽の陽ざしを浴びて活動をはじめて、夕方になって陽ざしが地平線に沈むと、そのうちに眠くなり眠りに就くという生活を基本的には繰り返してきています。
なぜヒトが基本的にこのような行動を取るのかというと、睡眠の役割として一つは脳と身体とに休息を与えるためで、もう一つは身体の成長、回復、維持などのメンテナンスを行うためです。身体は身体を横にするなどで休息を取ることは出来ますが、脳は睡眠を、ノンレム睡眠が得られなければ休息することが出来ません。ヒトが生命を維持して行くには睡眠は必須の行動であります。
どうしてヒトは眠くなるでしょうか
ヒトは疲れると眠くなりますが、夜になって眠くても眠れないという事も時には起きますが、生物時計のリセットが朝規則正しく行われておらず、夜になってスムーズに眠りに就くため必要とされる睡眠ホルモンのメラトニンが、規則正しく夜になることで十分に分泌されない事が原因の一つと考えられます。
ヒトは昼行性の動物ですから、毎朝、同じ時間に起きて生物時計がリセットされると、それに伴って身体は日中の活動がスムーズに行えるよう働き始め、その間に夜の休息の準備が行われて日没となり暗くなるとメラトニンの分泌が始まり、メラトニンの働きにより生物時計は睡眠に向かうよう身体を切り替えます。
ヒトの眠りと生物時計、ホルモンとの深い関係
ヒトは朝眠りから目覚める事で生物時計がリセットされると同時にメラトニンの分泌が停止されます。そして、生物時計がリセットされて14~16時間後にメラトニンが再び分泌されはじめます。メラトニンが分泌されるためには、生物時計のリセットだけでなくセロトニンという神経伝達物質がメラトニンの分泌を促進しますので、日中にセロトニンの分泌が十分に行われる事も眠りを得るためには重要なこととなります。
セロトニンは幸せ物質、幸せホルモン、癒やし物質と呼ばれたりしており、ヒトのこころを鎮め穏やかにする作用などを持つ物質です。セロトニンは日中の活動期に分泌されるので、起床時間を一定にすることや太陽光を浴びること、適度な運動を行う事など規則正しい生活をすることが重要となります。
ヒトの眠りと健康を維持するためには、就寝時間よりも生物時計がリセットされる朝の起床時間を一定にすることが最も大切であり、その上で三食を規則正しく摂って日中を活動的に過ごす事によりセロトニンの働きを活発にさせて、それにともない夜になってメラトニンの分泌が十分行われる事によってスムーズな眠りに就き、身体と脳との休息とメンテナンスが十分に行われるという事を目指すことになります。