地域密着型サービスに含まれる入居入所利用のサービス事業者は3種類あります
地域密着型施設は平成18年(2006年)4月より新しく設定されたサービス区分で、当初は6種類のサービスが含まれていましたが、平成24年(2012年)4月に2種類のサービスが加わり現在では8種類のサービスとなっていて、その中で3種類のサービスが入居入所利用ができる事業者のものとなっています。
3種類の地域密着型サービスは認知症高齢者の方を対象としている認知症対応型共同生活介護(グループホーム)と定員30人未満の介護老人福施設(小規模特養)が地域密着型サービスが始まる前から介護保険制度の対象となっていたサービス事業者でした。
そして、新たに地域密着型サービスとして介護保険制度に加えられたのは、地域密着型サービスが始まるまでは介護保険制度の対象外とされていた30人未満の有料老人ホームが地域密着型特定施設入所者生活介護事業者としての指定を受けることが出来るようになりました。
なぜ地域密着型サービスに3種類のサービス事業者が選ばれたのか
地域密着型サービスとは「今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が出来る限り住み慣れた地域での生活が継続できるように・・・。(健康長寿ネット「地域密着型サービス」より)」と、どこのサイトでもこのような内容が記載されており、このことが地域密着型サービスの一番大きな目的だと考えられます。
すでに介護保険サービスの対象となっている2種類のサービス事業者と介護保険外の有料老人ホームが対象になったことが地域密着サービスの目的にかなう事かどうかについては、グループホームについては地域密着型サービスとなる前から数多くの施設があり、平成23年5月1日現在で10,617施設ありますので「高齢者が住み慣れた地域で生活が継続できる場」と十分になり得ていると考えられます。
一方で地域密着型特定施設と小規模特養とは平成23年5月1日現在では169施設と446施設という施設数で、地域密着型サービスが開始されて5年を経過しても事業者指定数は非常に少なく、地域密着型特定施設がない県が13県あり小規模特養がない県は徳島県のみですが、その徳島県は地域密着型特定施設もないというありさまです。
グループホームについては最大でも3ユニット(1ユニット9名定員)の小規模な施設ですので地域密着型サービスの目的に合った施設であると言えますが、他の2種類の施設についてはただ施設定員がグループホームの最大定員に近かった事が加えられた理由と考えられます。
地域密着型サービスに3種類の施設が選ばれた本当の理由を考えて見ると
介護保険の指定事業者は都道府県の指定を受ける事になっていますが、全国の総事業者数では30万以上の事業者となっており、都道府県が指定を行う事はまだしも事業運営等について監督をすることは、都道府県の人員、力量ではとても手に負える状況ではなくなってしまいました。
グループホームについて考えて見ても、単純計算でも各都道府県は年間平均200施設以上の立ち入り調査を行って指導監督を行わなければなりません。他の事業者の指導監督も当然行うわけですから少しでも負担を軽くしたいというのは誰もが考える事だと思います。地域密着型サービスを設定する本当の理由は、事業者の指導監督を市町村に行わせて都道府県の負担を軽減させるためと考えられます。
くり返しになりますが、3種類の施設が地域密着型サービスに選ばれたのは、グループホームについては指導監督を市町村に行わせる事が一番の目的で、2種類の施設についてはグループホームと定員規模が近いという事によると考えられます。地域密着型特定施設生活介護については介護保険制度外であった小規模の(介護付)有料老人ホームを、地域密着型サービス事業者とする事で指導監督を少しでも行き渡らせたいという目的もあったと考えられます。