ヒトは生物時計でコントロールされています
ヒトは太陽が昇ると目が醒めて日中活動し、太陽が沈むと眠りに就くという生活を繰り返す昼行性の動物です。自然の環境変化は24時間周期で明るい昼と暗い夜が繰り返されますが、ヒトの生体リズム(概日リズム・circadianrhythms)は24時間より長い周期を持っていて、2つの時間周期の差を調整しているのがヒトの体内にある生物時計です。
ヒトの生物時計は朝の明るさの変化を感じて生物時計をリセットして、その上で日中の活動にふさわしいように代謝を高め、血圧、体温も上昇させます。そしてリセットから13時間くらい経過すると徐々に深部体温が低下して行き1~2時間後に自然な眠気が出現して眠りに就くという仕組みを持っています。
生物時計が機能不全になると睡眠障害が起こります
生物時計の機能不全によって起きる睡眠障害に、概日リズム睡眠障害があります。これは時差や夜勤などの外部要因による外因性によるものと夜更かし、昼夜逆転生活や受験勉強などが発症の誘因になったり、睡眠時間帯が毎日1時間ずつ遅れて行く、睡眠と覚醒の出現が昼夜を問わず不規則になるなど生物時計に障害が生じて睡眠スケジュールを望ましい時間帯に保てなくなる内因性のものとがあります。
生物時計が作り出している概日リズムは簡単には変えることが出来ないので、外因性、内因性にかかわらず一度生物時計が機能不全になって睡眠障害を起こすと容易に望ましい睡眠スケジュールに戻すことは困難となります。
生物時計を規則正しく働かせることで良い睡眠が得られます
生物時計が睡眠をコントロールしていますので、良い睡眠を得るには生物時計が朝の陽ざしと共にリセットされることが第一です。そして朝の目覚めの時間を同じ時間にして生物時計のリセット時刻を一定にすることが睡眠時間帯を一定にするという事になりますので、朝の起床時間は睡眠にとってもとても大事な時間となります。
生物時計のリセットが日中の活動の開始スイッチとなるだけでなく、一日の終わりの脳と身体との休息の時間となる睡眠の開始タイマーのスイッチにもなっている事になります。良い起床は良い睡眠につながるという事が言えますので、朝の目覚めをよりよいものにする工夫をして生物時計が規則正しく働くように心がける必要があります。