寿命には個体寿命と健康寿命とがあります
ヒトが生まれてから死ぬまでの期間を個体寿命と言い、一般的には寿命と呼ばれています。日本人の2010年の平均寿命は男性が79.6歳、女性が86.3歳となっています。これは生まれたばかりの赤ちゃんが死ぬまでの平均期間を示しています。
健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とWHOが2000年に提唱しました。日本の2010年における健康寿命は、国が示したところでは男性の平均が70.4歳、女性の平均が73.6歳となっています。
健康寿命と平均寿命との間には、男性で9.2歳、女性で12.7歳の差が見られ、この期間の差を不健康な期間と国は言っていますが、確かに健康の反対は不健康なので、男性では9.2年、女性では12.7年の不健康な期間が個体寿命までにあるという事になります。
健康寿命は実は日本では3種類算出されています
国の研究班が行った健康寿命の算出には3種類の指標が用いられていて、そのうちの1つが健康寿命として公表されました。国の研究会が定めた健康寿命の定義は「健康寿命とは、健康な状態で生存する期間、あるいは、その指標の総称を指す。」としており、日本の健康寿命の定義はこれが公式のものとなると考えられます。
「その指標の総称」というところがポイントで、研究会は3種類の指標を考慮に入れて健康寿命を考えるようにとしています。3種類の指標は、①日常生活に制限が無い期間の平均 ②自分が健康であると自覚している期間の平均 ③日常生活動作が自立している期間の平均となっています。
3種類の健康寿命はどのように算出されているのでしょうか
日常生活に制限が無い期間の平均は、国民生活基礎調査で 問1 あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか という問いに対して(1) ある (2) ない の選択を求めて、あるを不健康、ないを健康として集計されたものが元となっています。
自分が健康であると自覚している期間の平均は、国民生活基礎調査で、問 あなたの現在の健康状態はいかがですか。あてはまる番号1つに○をつけてください という問いに対して、(1) よい (2) まあよい (3) ふつう (4) あまりよくない (5) よくない のいずれかの選択を求めて、(1)~(3)を健康な状態、(4)、(5)を不健康な状態として集計されたものが元となっています。
日常生活動作が自立している期間の平均は、介護保険の要介護度の要介護2~5を不健康(要介護)な状態とし、それ以外を健康(自立)な状態として集計されたものが元となっています。
3種類の健康寿命を比べてみましょう