トイレでの排尿はトイレットトレーニングで確立します
トイレでの排尿は尿が腎臓で作られて膀胱に溜まってある一定の量に達すると尿意を感じて排泄するという動作をトイレットトレーニングで学習するものです。ヒトは生まれた時には膀胱反射すら出来ておらず、腎臓で作られた尿を膀胱で溜められずに排出しています。成長に従って脳との神経連絡が形成され膀胱に尿が溜まったことを認知し、生理的に膀胱に尿を溜める事が十分可能となった時に、タイミング良くトイレットトレーニングが行われる事によってトイレでの排尿習慣が確立します。
一度確立した排尿習慣は社会的な強化によって守られ続け、失禁という排尿習慣の過失、喪失は年齢にかかわらず大きなトラウマとなって日常生活に影響するものとなります。これはヒトとして成長に伴ってプログラムされた先天的な行動の獲得では無く訓練、強化された学習によるものであるからだと言えます。
ヒトは加齢による老化や傷病によって生理機能の低下等が原因となって尿失禁が生じることがありますが、ヒトのトイレでの尿排泄という生活習慣は後から学習によって形作られたものであるために、生理機能の低下等によって保持される事が一時的、継続的に困難になるものであるという事を示しています。
尿失禁にはどのようなものがあるでしょう
膀胱は尿を300~500ml溜めることが出来ますが、250ml以上になると尿意を感じるようになり、300~400mlとなると尿意を我慢が出来なくなりトイレに行く事になります。
尿失禁には一過性のものと慢性的なものとがあります。一過性のものは尿路感染症、多尿、運動制限、便秘、譫妄、精神的混乱、常用薬剤等が原因となります。慢性的なものには ①切迫性尿失禁 ②腹圧性尿失禁 ③溢流性尿失禁 ④機能性尿失禁 ⑤反射性尿失禁 があります。
尿失禁の治療にはどのようなものがあるでしょう
失禁の治療には ①行動療法 ②薬物療法 ③外科療法があります。症状によって一つだけの治療法を用いたり複数の治療法を併用して行う事があります。
行動療法は排尿誘導や排泄習慣の再教育、膀胱訓練、骨盤底筋のリハビリテーションが行われます。薬物療法は切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁それぞれに有効と考えられている薬剤の処方が行われます。外科的療法は切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、溢流性尿失禁それぞれの症状、原因に対する手術が行われます。
その他に各治療と併せて環境の整備、衣服の工夫や排尿器具の使用が検討、利用等されます。