介護を必要とするのは高齢者だけではありません
介護保険制度の被保険者は年齢区分が二つに分かれています。一つは第一号被保険者とされる65歳以上の方、もう一つは第二号被保険者とされる40歳以上の各健康保険加入者の方であります。
介護保険制度は超高齢化社会を迎えて高齢者全体を社会全体で支えるために創設された事になっていますが、実は介護保険制度が始まる前、そして始まってからも介護保険制度の対象者を高齢者だけに留めずに、介護を必要とする人すべてを対象にしようという動きがありました。
介護を必要とするのは高齢者だけでなく、先天、後天にかかわらず障がい児、障がい者も高齢者以上に介護を必要としている方が数多くおられます。高齢者の介護も老老介護の問題が言われていますが、親亡き後の障がい児・者の介護問題も大きな問題だと言えます。
介護保険の対象者はどのようにして決まったのでしょうか
介護の方法や内容について高齢者、障がい児者いずれに対しても基本的な部分では大きな差はありません。そして全ての人に加齢と同様に障がいを負うという可能性もある事を考えれば、当然ながら介護保険の対象者は全ての国民、在住者を対象にすべきだと考えられます。
そして介護保険料も社会保険方式を採ることにより成人と就労者からの徴収を行う事によって財政的にも安定するという、国、利用者ともにメリットが大きい制度となるはずでした。
介護保険の費用負担を社会保険方式にする事により全ての国民、在住者を対象にする事は出来なくなりました。その理由は障がい児・者には常時介護が必要な方が少なからずいる事などの経済的な事情から社会保険方式の費用負担には耐えられないという問題が大きく立ちはだかり、そのために介護保険の対象者を限定せざるを得なくなりました。
介護保険はすべての65歳以上を第一号被保険者、40歳以上の各健康保険加入者を第二号被保険者として介護保険料を徴収する事とし、65歳以上の方は介護保険サービス利用が必要と考えられた時、40歳以上の方については特定疾病と診断された場合のみ要介護・要支援認定を受けることが可能となりました。
介護保険の対象年齢はなぜ65歳以上と40歳以上なのでしょうか
介護保険制度が始まるまでの高齢者に対する福祉制度は老人福祉法で、同じく医療保健制度は老人保健法でありました。介護保険制度が始まってもこの二つ法律制度は廃止されること無く存続し続けています。
老人福祉法の対象年齢は例外規定はありますが65歳以上となっています。そして、老人保険法の対象年齢は医療保険を除いては40歳以上となっています。これら二つの法律の対象年齢が介護保険法の第一号被保険者と第二号被保険者の根拠となりました。