老人福祉制度のサービス利用は応能負担でした
介護保険制度が始まるまでは介護サービスは老人福祉制度と老人保健制度とで行われていました。老人福祉制度はサービス利用者が属する世帯の所得(所得階層)に応じた利用負担を求める応能負担となっていました。
サービス利用者が同居する世帯が所得に応じた負担を行うという世帯単位の原則が介護保険制度を作った理由の一つとなっており、サービス利用や負担額決定の時にサービス利用者と同じ家屋に住んでいる家族とを一つの世帯として認める認めないという事でしばしばトラブルが生じていました。
介護保険制度でのサービス利用は応益負担となりました
介護保険制度が始まって老人福祉制度と老人保険制度の介護サービスのほとんどが介護保険サービスとしても規定されて、サービス利用にかかわる手続きや費用負担などは介護保険に従って行われる事となりました。
介護保険制度のサービス利用負担額は現在のところサービス利用額の1割の応益負担なっています。残りの9割は公費負担となっていますが、これは介護保険サービス給付限度額までで、給付限度額を超えた場合にはその額が自己負担となります。
介護保険制度の謳い文句である「利用者が希望するサービスを希望するだけ利用できる」という事が実際に出来ているかは、自己負担が出来る方にとってはそのとおりと言えますが、利用者本人だけで全額自己負担が可能な経済状態の方がどれだけいらっしゃるかを考えると疑問を感じずにはいられません。
老人福祉制度から介護保険制度へと変化したものは
二つの制度の間には応能負担と応益負担というサービス利用に対する費用負担の根本的な変化が生じました。この違いは、世帯単位の原則と個人単位の原則というサービスの費用負担原則を変えることになりました。
応能負担から応益負担という変化は国民保険制度と同じシステムを介護保険制度が使用することとなり、居住地主義から住所地主義へと変わりました。老人福祉制度の実際に住んでいるとこで手続きをして介護サービスを受ける仕組みから介護保険制度では住民票登録地に認定手続きを行って介護サービスを受ける仕組みへと変わりました。
応能負担と応益負担との違いが老人福祉制度と介護保険制度との根本的な違いと言えましょう。