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お風呂で完全にリラックスするためには、機械式も埋め込み式の大浴場もNG!?

足が不自由でも寝たきりでも、普通のお風呂には入れる
私たち日本人にとってお湯を張った浴槽に浸かるという行為は、一日の疲れを癒し、リフレッシュするための非常に大切な文化です。もちろんそれは、足腰が不自由になったり車イスでの生活を余儀なくされたりするようになるといった、要介護状態の人にとっても同じこと。一日三食の食事と同じくらい、楽しみにしているという人もいるほどです。

そんな時に、ゴム製の簡易式浴槽や機械式のお風呂を使うお宅や介護施設もあります。ゴム製の簡易式浴槽では、子供用プールのような形状の浴槽にお湯を張り、要介護者が寝たまま入浴します。また機械式のお風呂は、要介護者をストレッチャーなどに乗せたまま入浴することになりますが、これらはあまりお薦めできません。

というのも、そもそも介護とは“要介護状態になっても、なるべく普通の生活を送れるようにすること”が目的だからです。たとえ寝たきりの人や自力で立つことができないような人でも、座ることさえできればお風呂に入ることができますので、特別な器具を使っての入浴に大きな意味はないのです。それどころか、本来はリラックスするはずの入浴で、逆効果になることすらあります。

機械式のお風呂は、要介護者にとって危険がいっぱい!?
機械式のお風呂は、両足がマヒしていたり意識障害があったり、またお風呂に入ろうという意志のない人などを入浴させるためのものです。こうした人にとっては便利であることは間違いありませんが、それ以外の人には次のような問題点があります。

まず、お風呂に向かう際にですが、ストレッチャーに乗せられた状態で移動するのは、健康な人でも不安を感じるものですから、からだを満足に動かせないような要介護者ではなおさら不安です。せっかくのリラックスタイムである入浴ですのに、これでは本末転倒ですよね。また当然、ストレッチャーから落下する危険もあり、常に細心の注意を払わなければならないという緊張感がつきまとうのは、介護者にとって大きな負担となります。

実際の入浴時には、寝たままの状態で湯船に浸かることになるのですが、この時、浮力によって足先が浮いてきたり、逆に頭が下がっていったりなど、状態が不安定になります。そのため、介護者が足を押えたり、また溺れないように上半身を支えたりと、介護者の大きな支えが必要になってきます。

そして最後に。機械式の入浴では、要介護者は何もすることがありません。つまり、常に受け身の状態での入浴となるのですが、これでは“お風呂に入ってさっぱりした!”という実感に欠けてしまいます。やはりお風呂とは、自分で頭やからだを洗ってこそのもの。そう考えるとやはり、機械式のお風呂の使用はお薦めできないのです。

埋め込み式の大浴場にも、問題点はたくさん
高齢者用の介護施設などでは、バリアフリーを意識するが故に、床に埋め込むタイプの大浴場を設置する例が見られます。床と浴槽の段差をなくすためのものですが、これにもいくつかの問題点があります。

そもそも埋め込み式のお風呂に入るためには、床にしゃがみ込み、床から立ち上がるという、要介護者にとって難しい動作が必要になってきます。浴槽に入るために階段やスロープを付けているケースでも、そこが滑りやすくなっているなど、要介護者の安全性が十分ではない場合が多いようです。

一方で、大浴場という点にも注目してみましょう。浴槽が大きければのんびりゆったりできそうなものですが、前後左右に支えとなるものがなく、浴槽の中でも動きが難しくなります。また、水の浮力によってからだが浮いてしまい、溺れてしまうこともないとは言えません。

介護者にとっても、難点がいくつかあります。まず、床面より低い位置にいる要介護者を引き上げるなど、体勢的に無理のある介助になるため、腰を痛める原因になります。また、万が一、要介護者の排泄物などで浴槽が汚れた場合に、お湯の張り替えに手間取ることになります。

確かに、機械式のお風呂や埋め込み式の大浴場は便利なように思われがちです。しかしこうした問題点のことを考えますと、やはり一般的な浴槽での入浴がベスト、ということになるのです。



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