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なるべくおむつを使わずに、自力で排泄できるようなケアを

一人でトイレに行けるような工夫を考えよう
 介護とは、高齢者が状態に合わせて不自由なく普通の生活を送れるようにサポートするものです。食事や睡眠など、“普通の生活”の中には、人間にとってなくてはならないものがありますが、当然、排泄もそのうちの一つです。

排泄、つまりトイレに行くことにおいても、普通に行けるようにサポートするのが介護の基本です。ここで言うサポートとは、手を貸すことではなく、要介護者本人が自力でトイレに行けるような工夫をするということです。

工夫の仕方にはいくつかありますが、要介護者が自力で歩けるのなら、トイレに行くまでの間に転倒しないように手すりを取り付けましょう。また、壁や家具に手を添えて歩くのも良いでしょう。その場合は、つかまりやすいように凹凸のある家具を選んだり、家具の高さを調節したりする工夫が必要です。

歩くことはできないが立つことはできるという場合は、ベッドから車イスに移動してトイレに行く方法をとりましょう。この場合は、車イスのまま入れるようにトイレを広くしたり、トイレの中で転倒しないように手すりを取り付けたりといった改修が必要になります。

立ったり歩いたりができなくても、這ったりずったりということができる人は案外多いものです。そういった人は、寝具をベッドではなく布団にして移動しやすくする工夫が必要になってきます。また、トイレまでの間に段差や凹凸がある場合は、それを取り除いておく必要があります。

介護用品を上手く使えば自力で排泄できる
 今の時代は、車イスや手すりなどの介護用品が発達しただけでなく、介護保険を適用して自宅を改装する介護リフォームも充実しています。そのため、自分の足で歩くことが難しいという人でも、安易におむつなどの排泄用品に頼らず、トイレで排泄することができます。

例えば片マヒの人でも、マヒのない側の足で立つことはできるでしょう。バランスは不安定ですが歩くことができるため、手すりなどを上手に使ってトイレに行くことができるはずです。また、下半身マヒなどで歩けないという人では、車イスを使ってトイレに行くことができます。スペース的に自宅で車イスを使うのが難しければ、ベッドサイドにポータブルトイレを設置して、そこで排泄できるようにするのも一案でしょう。

ポータブルトイレを便利に使う際の3つのポイント
 ベッドサイドのポータブルトイレを使う際には、3つの工夫ポイントがあります。それは、高さ調節ができるベッド、ベッドに取り付ける介助バー、イス型のポータブルトイレを用意することです。

起き上がってベッドに腰掛ける際にベッドの高さは、重要なポイントとなります。高すぎると恐怖心から足が下ろせなくなりますし、何より、ベッドサイドのポータブルトイレへの移動が不安定で危険です。また、ベッドの幅も重要で、最低でも100 cmほどは確保しておかないと起き上がる時に不便を感じてしまいますので、なるべく幅の広いベッドを選ぶと良いでしょう。

介助バーは、起き上がりや立ち上がりの時に補助してくれる福祉用品です。使い方は非常に簡単で、バーをつかみ、上半身の力を使ってポータブルトイレへと体を移すだけです。特に、ベッドから遠い部分をつかむとお尻が浮き上がりやすく、移動も楽になります。コツさえつかめば簡単に移動できるようになるはずですよ。

ポータブルトイレはイス型のもので、高さ調節ができるタイプを選ぶのがベター。また、背もたれや肘あてがあるものが多いですが、肘あての取り外しができるタイプを選ぶと良いでしょう。ベッドとポータブルトイレの高さを合わせ、肘あてを外し、介助バーを使えば、ストレスなくトイレに移動することができるでしょう。

なるべくおむつを使わない方が良い理由とは?
 要介護者が自力でトイレに行ったりポータブルトイレに移動したりすることができない場合や、介護者に余裕がない場合などには、トイレに行かず、ベッドの上で排泄するのもやむを得ません。しかし、その場合でもおむつを使うのは最終手段に考えて欲しいものです。

というのも、おむつを使うと排泄時でも動く必要がなくなるため、体力の低下や床ずれを起こす危険性があり、筋力は低下していき、やがて生きる気力さえ失いかねません。そのため、例えば片足でも動くようであれば、おむつは使わない方が良いです。

確かに、寝た状態では尿や便は出にくいもの。特に便に関しては、後始末や衛生面を鑑みても介助は必要となりますが、介護者も要介護者も、差し込みタイプの尿器や便器を上手に使って排泄するように慣れていくことが大切です。

ベッド上での排泄で、用意したいもの&注意したいポイント
 ベッドの上で排泄する際には、あらかじめ用意しておくものと、いくつかの注意ポイントがあります。まず用意するものは、差し込みタイプの便器と尿器の他、尿器ホルダー、防水シートやティッシュ・タオルなどです。

大抵の差し込みタイプの便器には取っ手が付いているため、一人でも使いやすくなっています。サイズや安定感など様々な商品が市販されているため、利用者の体格に合わせて選ぶと良いでしょう。直接、お尻に当てることになるため、便器自体の冷たさは心地が悪く、それを避けるために使用前にはお湯に浸けておいたりすると良いでしょう。

尿器には、男女兼用のものもありますが、なるべくなら男性用・女性用と専用のものを選んでください。排泄の失敗が格段に減るはずです。特に女性用は、尿がお尻の方に流れないように、密着するようにできているため、失敗を減らすことができます。これらは、利用者が尿をしたくなった時にいつでも使えるよう、ベッドサイドにかけるタイプの尿器ホルダーを用意しておくのがお薦めです。

防水シートやティッシュ・タオルなどは、便器や尿器に上手く入れられなかった時のためのものです。後始末が楽になるというだけでなく、利用者本人の安心感も違ってきます。常に防水シートをしておく場合は、寝心地を考えて、その上にタオルを敷いてあげると良いですね。

要介護者が尿器や便器を使えない際には、介護者の手による介助が必要ですが、その際にはいくつかの注意ポイントがあります。

まず要介護者の両ひざを立て、着ているものを腰までグッと上げます。体の下に防水シートやタオルを敷いた後に下着を脱がせ、尿器や便器を差し込みます。特に女性の排尿の場合は、尿の横漏れを防ぐために股間にあらかじめティッシュを2~3枚挟み込んでおきますと、後始末も楽になります。

準備が整ったら、プライバシー保護のためにも、立てたひざに大きめのタオルをかけてあげましょう。また、ゆっくりと排泄ができるように、すぐにその場を離れてあげると良いでしょう。排泄が終わったら、後始末とともに消毒や換気などをして、感染症を防ぐようにしましょう。



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