噛み合わせのチェックを
歯は、食べ物から栄養を摂って生きている人間にとって、なくてはならない重要な部位です。上下合わせて32本の歯(親知らずを含む)を噛み合わせることで、食べ物を噛み、適切な大きさにすることで消化の助けになっているのです。そうした機能を持っている反面で、実は危険な部位でもあるということをご存知でしょうか?
歯が折れてしまったり、噛み合わせが悪かったりする人は、噛もうとした瞬間に上の歯が下の唇や歯ぐきに刺さることもあるのです。言わば、口内の凶器。特に高齢者は、口内に痛みを感じていますのに、失語症や認知症のために上手く介護者に伝えられないというケースもあります。そのため、介護者には食事時に注意深く観察したり、口を開けさせてチェックしたり、また噛み合わせた状態をもチェックする必要があります。
高齢者の口が乾には…
だ液には、消化を助けたり、口内を洗浄したりするなど多くの働きがあります。しかし、高齢になればなるほど、口の中の乾きを訴える人が増えてきます。これは老化現象の一つで、服用している薬の副作用だったり、だ液の分泌が少なくなっていたりする証なのです。そのため高齢の方は特に、口腔ケアや義歯の調整、噛み合わせのチェック大切になってきます。
バイオフィルムはこすって落とす
舌で歯を触ってみますと、歯や入れ歯の表面がヌルヌルしていることがありませんか?このヌルヌルはバイオフィルムと呼ばれる微生物などの塊で、キッチンシンクや川底などのぬめりと同じものなのです。このバイオフィルムは、口臭の原因となったり、歯周病の原因になったりしますので、しっかりと取り除いて口の中を清潔に保っておく必要があります。
バイオフィルムを取るためには、しっかりと歯を磨いたり、入れ歯を取り出して歯ブラシでこすったりしなければなりません。水で洗い流すだけではNGなのはもちろん、テレビCMなどでコップの中に洗浄剤とともに入れ歯を入れてバイオフィルを洗浄する場面がありますが、その効果に頼りすぎるのは危険です。しっかりとこすって洗うことが必要ですので注意しましょう。
部分入れ歯と総入れ歯の違いとは?
高齢者ともなれば、入れ歯をしている人、又は今後、入れ歯にすることを考えている人も多いでしょう。そこで、入れ歯の中でも部分入れ歯と総入れ歯の違いについてご説明しましょう。
部分入れ歯とは、歯が残っている時にするもので、残っている歯にクラスプと呼ばれるバネの付いた金具をひっかけるようにして装着するのが一般的です。総入れ歯に近い状態のものから、1本ずつ個別に装着するものまで、そのタイプは様々です。
一方、総入れ歯は文字通り、すべての歯がない場合に装着するものです。あごの裏面まですべてを覆うことになるため大きくなるのが特徴で、人によっては発音しにくくなることもあるようです。
部分入れ歯は出し入れ時に注意
あごに密着させて固定する総入れ歯に対して、部分入れ歯は金具で固定するため、安定性が高いのですが、その半面、出し入れがやや煩雑なのが難点です。例えば入れる時。両手を使って左右を平行に保ち、金具をかける歯をしっかりと見定めて入れるのが基本ですが、それを怠ると金具をかける歯を痛めたり、頬の肉を挟んだりして、口内の健康を害する恐れがあります。また、口の中で噛んで固定させようとする人がいますが、これもNG。自分の歯を痛めるだけでなく、入れ歯が壊れてしまう可能性がありますので、無理やり固定させようとするのは避けましょう。
部分入れ歯を入れる際、水平に入れるのが基本ですが、残っている歯の向きによっては左右のどちらかを先に入れるという方法もあります。その場合、出す時は入れる時と反対の順番で出すようにしてください。
ちなみに、部分入れ歯でも総入れ歯でも、就寝時には外すのが基本です。睡眠中に飲み込んでしまわないように、また入れ歯を長時間使用するとあごの骨に負担がかかって機能が衰えてしまうため、歯や歯ぐきを休ませるためにも外した方が良いのです。しかし、部分入れ歯の場合は、残っている歯の向きや状態によっては入れ歯を付けたまま寝た方が口内の健康のために良い場合があります。寝る時に入れ歯をどうするかは、かかりつけの医師の指示に従うようにしてください。