食欲がない時は待つ、そして動く
誰にだって、「なんだか食欲がないなぁ」と思うことはあるはずです。若い健常者であれば、1食くらい抜かしたところで大した影響もなく、翌日には普通の生活に戻すことができるでしょう。しかし、介護が必要な高齢者ではそうはいきません。必要な栄養を規則正しく摂ることが、健康な生活を作るからです。
とはいっても、食べたくないものは仕方ありませんよね。そんな時、どのように対処すれば良いのかを解説しましょう。
例えば朝食。朝起きてすぐはからだが起ききっていないために、あまりお腹が空かないという人も多いでしょう。また昼食でも、朝食からさほど時間が経っていないと食欲が湧かず、少し食べて箸を置くという場合もあるでしょう。そんな時、どうすれば良いかと言えば、「待つ」に限ります。無理して食べて気分を悪くするのはあまりよろしくありません、そういう時は食欲が出るのを待てば良いのです。食べ物を目の前にしたり、においを嗅いだりするだけで食欲が出ることもありますので、気長に待つというのも一つの方法なのです。
夕食では、少し話が異なります。大抵の場合は18~19時の間で食事になることが多いでしょう。昼食からは6~7時間経っていることになります。その間に少しでもからだを動かしておけばエネルギーが消費され、その分を補給しようとからだが食べ物を欲するはずです。例えばデイサービスやリハビリなどでからだを動かすのも良いですね。
食べる気がしない時は、いろいろな原因を考えて
そもそも食べる気がしないということは、食への興味を失っている可能性があります。その原因として考えられるのが、まずは“マンネリ”です。施設での食事は栄養を考慮して薄味になっていることが多く、それに飽きてしまうというのはよくある話です。そんな場合の解決法は、他でもない“マンネリ解消”ということになります。
たまには出前を取るのも良いでしょう。家族とともにファミレスなどで外食したり、施設やデイサービスの仲間と一緒に会食したりするのも良いですね。施設のイベントで花見などに行った際にはすごくよく食べた、という人も実際にいます。上手く気分転換できるかどうかが、食欲不振を解決するカギを握っているのです。
一方で、病気によって食欲不振を起こしている可能性も考えられます。上記のような工夫をしても改善しない場合には、すぐに医師の判断を仰ぐようにしましょう。特に認知症では、食欲不振が症状として現れることがあるので注意が必要です。
さらには、意欲の低下という原因も考えられます。高齢者ではありがちな、生きるための意欲が低下すると同時に、食欲も低下するケースです。こうした状態になりますと、目は伏し目がちになって力を失い、笑う回数が減り…といった兆候が見られますので、注意深く観察することが必要です。意欲を上げるためには、「行ってみたいところはないか?」「会いたい人はいないか?」「したいことはないか?」といったことを聞いて、それを実現してあげてみてください。きっと食欲増進につながるはずですよ。