理想的なのはテーブルとイス
背もたれ付のイスに深く腰かけ、かかとまでしっかりと地面に着け、前かがみの姿勢が取れるくらいの高さのテーブルで食事をするのが一番の理想です。これが最も安定しており、なおかつ誤嚥(ごえん)の危険性も限りなく低い姿勢です。もし、片マヒなどでバランスを取りづらいというようであれば、肘置きのイスを用意すると良いでしょう。
自宅のダイニングで食事をする時はもちろん、施設で生活を送っている時でもなるべく食堂に行き、この姿勢で食事をすることが大切です。
ベッドでの食事もOK
例えば病院に入院している場合などは、ベッドの上での食事になるケースが多いでしょう。その場合でも、テーブルがおへそくらいの高さにあること、地面にかかとまで足が着けられることの2点がクリアできていればOKです。ベッドとテーブルの高さを上手く調節して、適度な高さにするように心がけましょう。
背もたれがないことで安心感という点では不安もありますが、ベッドに座っていれば後ろに落ちるということはありませんので、慣れれば気になることはないでしょう。
車イスでの食事は、テーブルの高さに注意
普通の車イスであれば大丈夫です。しかし、中には背もたれに傾斜が付いていたり、シートが緩く安定性に難のある車イスもあったりしますので、車イス選びには注意を払いたいところです。それよりも、車イスでの食事で気を付けたいのが、テーブルの高さです。
施設によっては、車イスの肘置きのことを考慮して、テーブルを高くしているところがありますが、これは逆効果です。前かがみの姿勢が取れないために、かえって誤嚥の危険性を高めてしまいます。肘置きがテーブルにつっかかったとしても、逆に食べようとすれば前かがみになりますので、あくまでテーブルが適切な高さに設定されていることが大切です。
車イスのリクライニングには要注意
「腰や背中が痛くて、リクライニングできる車イスでないとダメ」という高齢者の方も多いでしょう。そうした人の場合、普通のイスに座っての食事も難しいため、車イスに座ったままでの食事となるのも致し方ありません。
背中をリクライニングさせたままでは、口がノドよりも上になるため、誤嚥の危険性が高まります。そのため、なるべく前かがみになるように食事をする、本人の意識が大切です。好きな食べ物を目の前にしたら、自然と前かがみになって食べるようになり、そうするうちに普通の車イスでの生活ができるようになったという例もありますよ。
ギャッジベッドでの食事は危険!
背中を起こせるタイプのギャッジベッドは、病院や施設でも取り入れられています。また、背中を60度くらい起こした状態で食事をしている人もよく見られますが、これは嚥下障がい(飲み込むのが不自由な障がい)を起こしている人のためだけ。普通に起き上がれたり、マヒやパーキンソン病を患ったりしている人でも、起き上がって食事することに越したことはありません。
ベッドで寝たままの状態での食事ほど、理想に反するものはありません。汁物は飲みにくく、背中がベッドに圧迫されているために胸部・腹部を動かしづらく、もちろん誤嚥の可能性も非常に高くなります。これが原因で誤嚥性肺炎や気管支炎を起こすケースも多く、絶対に避けたい食事姿勢です。