リハビリテーションは、医療機関のリハビリテーション部門に出向いて行うものという印象が強く、医学的リハビリテーションを、一般的にはリハビリテーションと考えられていると言えます。
そのような中で、日本リハビリテーション病院・施設協会は、地域リハビリテーション活動について、「地域リハビリテーションとは、障害のある人々や高齢者およびその家族が、住み慣れたところで、そこに住む人々とともに、一生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う」と定義しています。
リハビリテーションは、医学的リハビリテーションから社会リハビリテーションに向けて、地域リハビリテーション活動を行ってゆくことを目指そうとしていることが、地域リハビリテーション活動の定義から知る事が出来ます。
高齢者は、加齢に伴う生理的老化による機能低下や病的老化による障害の発生など、医療機関への入院によるリハビリテーションだけでなく、日常生活でのリハビリテーションが「住み慣れた地域で能力に応じた自立した生活を送る」ためには必要だと考えられることから、地域リハビリテーション活動が広がることは、非常に望まれることであります。
介護保険がはじまった年である平成12年度(2000年度)に地域リハビリテーション支援体制整備推進事業が開始され、地域リハ整備推進事業の実施と地域リハ広域支援センターや都道府県リハ支援センターの整備が行われました。平成18年度(2006年度)には、国の補助事業から各都道府県の事業へと移行した後は、地域リハ整備推進事業を実施する都道府県(05年・41都道府県⇒09年・30都道府県)、地域リハ広域支援センター(278施設⇒229施設)、都道府県リハ支援センター(34施設⇒22施設)の設置数が大幅に減少してしまいました。
介護保険制度利用者のリハビリテーションのニーズは高いにもかかわらず、地域リハビリテーション支援体制整備は衰退してしまいました。そのような中で地域包括ケアシステムが整備されることになり、地域リハビリテーション支援体制を再整備することによって、地域包括支援センターへの支援が実践されるようになった自治体が出て来ました。
介護保険制度の見直しが行われた中で、介護予防の充実として「地域においてリハビリテーション専門職等を生かした自立支援に資する取組の充実」が、平成27~29年度に行われることになりました。これは地域リハビリテーション支援体制の再構築を目論んだ国の政策だと考えられます。
日常生活の中でのリハビリテーションが実現するには、地域リハビリテーション支援体制が地域包括ケアシステムの中で再生されることは必要な事と考えられますが、リハビリテーション専門職が医療機関ではなく、地域で活動することが出来るかどうか、これまでの経過を見るとかなりハードルは高い