83歳になる私の父は、６年前に私が結婚してからずっと一人暮らしを続けていました。２年前には認知症と診断されましたが、それでも互いにいつも気にかけあっており、電話したり私が実家に行ったりなどしてこれまで平穏に過ごしてきました。
けれど最近、どこかに出かけては自宅に帰れなくなるということが頻発してきました。本人はあっという間に記憶が乏しくなり、なぜ出かけたのかすらわかりません。ただ、今まで行ったことがないような場所で保護されたり、転倒して怪我を負い、見知らぬ病院から連絡を受けたりすることがしばしばありました。
このままでは、いずれ大きな事故や事件になってしまうかも、と毎日不安でたまらず、有料老人介護マンションへの入居を決めました。といっても、入居までには何度も悩み、まよいました。自分の手で介護できないことを悔やんだり、父が実家を離れることを寂しがるのを見ては「かわいそうなことをしているのではないか」と涙が出たこともありました。
今、入居して３ヶ月が過ぎましたが、父がとても落ち着いて、徘徊することが少なくなり、入居してよかったと本当に安心しています。もちろんそれは24時間体制で常駐しているヘルパーさんなどスタッフの方々のおかげです。ふらふらと出て行こうとする父に声をかけて引き戻してくれたり、どうしても行きたがる時には同行してくださるなど、様子に合わせてきめ細かく対応してくれます。私自身が介護していたら、こうはいかなかったと思います。
父に面会に行くたびに、ここへの入居を決めてよかったと胸をなでおろしています。